「顔の見える関係」が企業を強くする 決算報告会を活用した金融機関との関係強化


金融機関の変化

人手不足や働き方改革が進むなか、金融機関も大きな変化の波に直面しています。以前のように融資先を定期的に訪問し、経営者と顔を合わせる機会は確実に減少しています。ある金融機関の方は「全取引先を網羅するのは難しい」と語っています。

もちろん、金融機関も業務の効率化により面談機会の捻出に取り組んでいますが、限界があるとも聞いています。金融機関との関係構築においては、やはり「顔を合わせた対話」が持つ価値は依然として大きいものがあります。数字だけでは見えない経営者の思いや事業への情熱、今後の展望など、対面でしか伝わらない情報は少なくありません。

では、限られた機会の中で、どのようにして金融機関と有意義な関係を築いていけばよいのでしょうか。

決算報告会という機会

多くの中小企業では、決算月の翌月または翌々月に、顧問税理士から決算申告に関する説明と報告を受ける機会があります。法人税や消費税などの納期限前に行われるこの場が「決算報告会」です。

決算報告会では、前事業年度の業績を振り返り、何がうまくいき、何が課題だったのかを確認します。そして、今期の経営方針や目標を明確にし、今後の設備投資や事業戦略について具体的に検討します。経営者にとって、一年の経営を見つめ直し、次の一歩を考える重要な時間です。

この決算報告会に、金融機関の担当者が同席することで、新たな価値が生まれるのではないでしょうか。決算数値の背景や経営者の思いを直接確認でき、今後の経営計画や業績の見通し、そして資金調達のニーズなども対話を通して把握できるのです。

3者が集うことのメリット

決算報告会に(1)企業経営者(2)金融機関(3)顧問税理士の3者が集うことには、大きなメリットがあります。

まず、「顔の見える関係」が構築されます。経営者は金融機関の担当者に自社の状況を直接説明でき、金融機関担当者は数字の裏にある経営者の考えなどを理解できます。また、専門家である顧問税理士が同席することで、数値をベースとした議論が可能になります。

さらに、多くの顧問税理士は金融機関と同様に、国から経営革新等支援機関(認定支援機関)の認定を受けています。補助金活用、経営改善計画の策定、事業承継など、企業、金融機関と連携して様々な場面でご支援できる体制が整うのです。

タイムリーな資金調達を実現

決算報告会の大きなメリットの一つが、タイムリーな資金調達の実現です。

従来、多くの中小企業では資金が必要になってから金融機関に相談するケースが多く見られました。しかし、それでは選択肢が限られ、場合によっては条件面で不利になることもあります。

決算報告会で今後の設備投資計画や事業展開について話し合うことで、金融機関は早い段階から資金ニーズを把握できます。経営者も、余裕を持って資金計画を立てることができ、最適なタイミングで融資を受けることが可能になります。

また、日頃から経営状況を共有していれば、万が一業績が厳しくなった際にも、金融機関との信頼関係をベースに早期の相談ができ、リスケジュールなどの対応もスムーズに進みます。

信頼性の高い決算書が前提

決算報告会を有意義なものにするためには、信頼性の高い決算書と税務申告書が不可欠です。正確な財務情報があってこそ、建設的な議論ができるからです。

その信頼性を示す方法として、「中小会計要領チェックリスト」の添付があります。これは、中小企業の会計処理が一定の基準を満たしていることを示すものです。また、税務申告書への「書面添付制度」の実践も有効です。これは税理士が申告内容について責任を持って確認したことを示す制度で、金融機関からの信頼を高める効果があります。

決算報告会を始めてみませんか

決算報告会は、特別なものではありません。すでに多くの企業で、決算後に顧問税理士と経営の振り返りをする機会を持っています。そこに金融機関の担当者に同席してもらうだけで、新たな価値が生まれるのです。

「金融機関との関係が希薄になっている」「もっと自社のことを理解してほしい」「資金調達をスムーズにしたい」と感じている経営者の方は、ぜひ決算報告会の開催を検討してみてください。

決算報告会の設定や進め方、金融機関への声がけなど、顧問税理士がサポートいたします。年に一度の機会を活用し、金融機関との「顔の見える関係」を築くことで、企業の成長を加速させることができます。

金融機関の人員が限られるなか、企業側から積極的にコミュニケーションの機会を作ることが、これからの時代には重要です。決算報告会は、そのための最適な場となるはずです。