【経営に役立つ会計知識】
「月次試算表をもらってはいるけれど、どこを見ればいいのかよくわからない」
「税理士から説明を受けても、どう経営に活かしたらいいのかピンとこない」
そんなお声を、日々多くの経営者さまから伺っています。
月次試算表にはたくさんの数字が並んでいて、少しとっつきにくく感じられるかもしれません。
でも、経営者の方にぜひ押さえていただきたいポイントは、実はほんの数か所。
今回は、限られた時間の中でも「ここだけは見ていただきたい!」という3つのポイントを、具体例とともにわかりやすくご紹介いたします。
売上だけを見て、「今月は好調だった」「先月より下がってしまった」と判断していませんか?
実は、それだけでは本当の経営状態は見えてきません。
大切なのは、「粗利率(あらりりつ)」です。
粗利率とは、売上から仕入や原価を差し引いた「粗利益」が、売上の中でどれだけの割合を占めているかを示す数字です。
📌 例)売上1,000,000円、仕入600,000円の場合
→ 粗利益:400,000円、粗利率:40%
ある製造業のA社では、
と、売上は増えていたものの、実際の粗利益は減っていました。
値引きや原材料費の高騰などが原因で、売上が伸びたのに利益が減ってしまうという、よくあるケースです。
「売上は上がっているのに利益が出ない…」というときは、まず粗利率を見てみましょう。
固定費とは、売上に関係なく発生する毎月の費用のこと。
代表的なものに、人件費・家賃・リース料・通信費などがあります。
これらを合計して「固定費」とし、それが売上の何%を占めているかを示すのが「固定費率」です。
📌 例)売上1,000万円、固定費300万円 → 固定費率30%
売上が増えても固定費は基本的に変わりません。
ですので、売上が増えれば固定費率は下がり、結果として利益率が上がっていきます。
逆に、売上が減ると固定費の負担が重くなってしまいます。
※ビジネスモデルによっても異なりますので、自社の推移を継続的に見ることが大切です。
「利益は出ているのに、なぜかお金が足りない…」
そんな経験はありませんか?
これは、売上計上と現金の回収・支払いのタイミングがずれていることが原因です。
短期借入金が増え続けている場合は、根本的な資金不足のサインかもしれません。
長期借入への借り換えや、資金繰り改善の検討が必要です。
月次試算表は、会社の“健康診断書”のようなもの。
「粗利率」「固定費率」「現金の流れ」の3つを毎月チェックしていくだけで、経営の異変にいち早く気づくことができます。
試算表を「ただの数字の羅列」ではなく、「経営の羅針盤」として活かしていきましょう。
「うちの数字はどうなんだろう?」「改善のヒントがほしい」と思われた方は、ぜひお気軽にご相談ください。
客観的な視点から、経営者さまにとって本当に役立つアドバイスをご提案させていただきます。
数字に強くなることは、企業の未来を守る力になります。