建設業経営者の皆さまへ
日々、現場の管理や営業活動で忙しくされている建設業の経営者さま。
「税金のこと、何から手をつけたらいいのか分からない…」そんなお悩みを感じていらっしゃいませんか?
建設業は他の業種と比べて、会計や税務の仕組みが少し複雑。
でも、いくつかのポイントを押さえるだけで、会社の経営がぐんと安定していくこともあるんです。
このコラムでは、私たち税理士が日頃のご相談でよくいただくお悩みに触れながら、建設業ならではの税務・経営管理のヒントをご紹介します。
建設業の会計でまず押さえておきたいのが、「売上の計上タイミング」です。
「工事完成基準」では、工事が終わったタイミングで売上を計上します。
一方、「工事進行基準」では、進捗に応じて毎期少しずつ売上を計上します。
たとえば3月決算の会社で、2月に着工し翌年1月に完成する工事がある場合…
となり、税金の支払時期も大きく変わってきます。
特に金額の大きい工事では資金繰りにも大きな影響があります。
「うちはどちらが合っているのかな?」と思われたら、ぜひ税理士にご相談ください。
建設業は現金取引が多く、税務調査でも材料費や外注費の支払いが重点的に確認されます。
「現金で払ったけど領収書がない」
「契約書は作っていないけど、いつも頼んでる業者だから大丈夫」
…そんなケースは、調査の場ではトラブルになりかねません。
面倒でも、
この2つを習慣にしておきましょう。
建設業では、工事の着手時や途中で「前受金」をいただく契約も多くあります。
この前受金をうまく活用することで、支払いと入金のタイミングを調整でき、資金繰りがぐっと楽になります。
たとえば…
💡 総額1,000万円の工事で:
このように分けて契約すれば、材料費や外注費の支払いにあてるお金が、前もって手元にある状態がつくれます。
最近は資材費の高騰もあり、発注者さまに「なぜ前受金が必要なのか」を丁寧に説明すれば、理解を得られるケースも増えています。
建設業の経営者さまからよく聞くのが、「仕事はあるのに利益が出ないんです」というお悩み。
その原因のひとつが、「工事ごとの利益の見える化」ができていないことです。
まずは、Excelなどで簡単な表を作ってみてください。
工事名 | 見積売上 | 見積原価 | 実際売上 | 実際原価 | 利益率 |
A邸改修工事 | 500万円 | 350万円 | 500万円 | 400万円 | 20% → 低下 |
こうして実績を見直してみると、
「材料費が思ったより高くなった」
「急な追加工事が出た」
といった原因が見えてきます。
失敗を次回の見積もりに活かすことで、会社は確実に“強く”なっていきます。
2020年から、社会保険未加入業者は現場に入れないルールが本格化しました。
「保険料が高い」と感じている経営者さまも多いと思いますが、これは避けて通れない“必要経費”です。
例えば、職人さんの日給が15,000円だった場合、社会保険などを加味すると実際のコストは18,000円程度になります。
この「本当の人件費」を理解して、工事単価に正しく反映させることが利益確保の第一歩です。
若い職人さんが定着しない…
求人を出してもなかなか来ない…
そんなお悩みをお持ちの会社さまも多いのではないでしょうか?
今は、「給与」だけでなく「働きやすさ」も重視される時代です。
こうした取り組みが、結果的に人材の定着や採用力アップにつながります。
「帳簿は年に1回、申告のときに見て終わり」では、経営のタイミングを逃してしまいます。
クラウド会計を導入すると、
といったメリットがあり、忙しい建設業の経営者さまにもぴったりです。
月に1度、数字を確認する習慣をつけることで、「お金が足りない」という不安にも早めに気づくことができます。
税理士は、ただの“税金の人”ではありません。
建設業に詳しい税理士であれば、
といった「経営のパートナー」として、会社の未来を一緒に考える存在になれます。
「現場が忙しくて、経理まで手が回らない…」
そのお気持ち、私たちもよくわかります。
でも、経営の数字に目を向ける時間をほんの少しでも作ることで、会社の未来は必ず明るくなっていきます。
まずは、できることから。
一緒に、無理なく少しずつ整えていきましょう。
税務や経営に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にお声かけください。
現場を支える経営者の皆さまの力になれるよう、これからも丁寧にサポートしてまいります。